思春期お絵描きブログ

趣味で小説やイラストを投稿させていただきます。<(_ _)>

不法侵入!8「黒い雨音!」

そんな事を思っている時、ちょうどそいつが、流しの戸に手をつけてゆっくりと揺らめくように立ち上がり暗がりの中で辺りを見渡しはじめた。


動作はゆっくりなのに何故か独特な威圧感のオーラを放っているそいつに、すっかりびびってしまい、老人男がこっちに向きはじめたのと同時に正幸はいそいそとなんとか心臓ばくばくに声を押し殺して風のごとく2階に早足で上がっていった。


そして、扉の引き戸をしめると再びパニックな状態に精神がおちいり我を忘れてスマホをいじりはじめた。が、完全に充電切れになってしまっていて、反応はほぼゼロ。それでも正幸は、しつこく兄ちゃん、兄ちゃんとまるで、願望するように口ずさみながらスマホのあちこちをいじりまくっていた。普通はまず警察に通報するのが先だと思ったのだが小さい頃から一緒にいた兄の方がよっぽど頼もしい存在のように感じていたようだ。


それに、この長屋に住んでるのは正幸だけで、あと2つのお隣りさんは空き家になっていた。他の下に向かう坂沿いに並んだ一軒家の人たちは正幸が引っ越してきてから特に親しくもなく、挨拶もそこそこで、交流もしていなかったから、正幸はさらに焦りだした。しかも、夜のこの時間は足場も見えないくらい真っ暗で街灯もほとんどないから安易に危険で外には出られない!


別に相手はこがらな老人なんだからこっちから危害を加えても正当防衛になるかもしれないが、そんな気力はとうに一日の疲れと暑さで残っておらず情けなくも暗闇で震えているのが今の正幸には精一杯だった。
やばい!やばい!やばい!Σ(゚Д゚)


結局スマホは無反応で正幸がさらに絶望状態(大パニック!)になりはじめると、今度はゴロゴロと追い打ちをかけるように外からチカチカと鋭い光りが走り出すのが見えた!そしてほぼ同時に大きなバケツをひっくり返したような雨粒の激しい音が響き出した!

不法侵入!7「険しい坂道!」

1階のジメっとした湿度とこの人の体の異臭で頭が真っ白になりながら、正幸は状況をうまくのみこめずも、のんきにこの老人とすれ違ってた日の出来事を脳裏にフラッシュバックしていた。暑い炎天下の急な坂道でたまの休みにサイクリングしようと蝉の鳴き声を聞きながら汗をかいて降りているとき下から白髪頭の老人が前屈みで後ろに手を組んで「ふん、ふん・・!」としんどそうに時より数秒ごとに立ち止まりながらも黒い長靴で踏ん張りながら登ってくる。腰をかがめて歩いてるけど、背筋を伸ばしたら140センチ手前くらいのほぼ小学生並みの身長。
なんか、長靴だけみて百姓か農家の人かと勝手に思っていたけどすれ違いざま独特な体臭と着ている服が長袖で冬に着るような汚れたダウンが身体にあっていなくダボダボな感じで何となく察した。暑くないのかな!年を取ると、汗かかなくなるとか!?(-_-)
僕は何となく体臭の香りだけで眉をひそめてしまったが何気に、白髪頭の髪の隙間からのぞく茶色い日焼け肌でにんまりとした坂上を恨めしそうに見つめる不気味な細目の視線を印象的に覚えている。
この辺に住んでる人はみんな足腰鍛えてるな!とその時は深く考えずに僕も一人納得して下に降りて行ったけど、よく考えたら、坂の上の方は民家も少ないしほぼ長屋などの空き家が目立つぐらいだ。アパートショップの人からも空き家とかはホームレスの人のたまり場になりやすいとか、何とか聞いてた気もした。


それから、ごくたまに僕が働いている数少ないお店が並ぶ場所にも足を運んで歩いてる所も見かけて店長と何気に話す会話の中であれは小鬼(こおに)さんだねと冗談混じりで話した事もあった。


でも最近は空き家もしっかり施錠してあって、そのような(ホームレスの)人達は役所でもだいぶ支援されるようにもなって、この辺でたまる事も今はほとんどなくなったとか…!一部ではそうゆう支援を受けたがらない人もいるらしいけど、僕が住んでるのは急な坂道のほぼ頂上でしかも90度間近は大げさだけど行き来だけで体力を結構使うんだよね。(-_-;)


でも、実際年配者の人でもこうしてねばってまで登ってきてるわけだし、まさか僕の家が住処にされてるなんて、ずっとしばらく続いていた部屋中の異臭から早く気づくべきだった!

不法侵入!6「侵入者!」

下からの怪しげな物音にビクッとしてしまった正幸は暗闇の部屋の中、何とか体重を背中に持たれたまま立ち上がると少しためらったが決心していやいやながら壁をつたいドアを開け暗闇の細いきしんだ木造の階段を降り始めた。
たぶん、ネコか何かだよね!林とか多いけど流石にクマとかはありえないだろうし!猿もちょっとな!(-_-)動物とは限らないけど、今まで感じてた得体がしれない気配とかからだと古い家だから座敷わらしとかゆうれい?25にもなってまともな思考が出来ないのが情けないな!てか、ほんとマジで勘弁して(>_<)
ガサガサ…!
まだ音が聞こえてきて、何度も降りるのをためらったが、眉間にしわをよせながら何とか下にたどりつきゆっくりと部屋を覗いてみた。だいぶ暗闇に目が慣れてきたことと小さく外からもれる月あかりを頼りに正幸はあたりを見渡し、やがて凍り付いてしまう!
音の出処は台所の方で、地べたを何かがゆっくりとうごめいて這いつくばるように入ってくる。それは、あきらかに、正幸の想像は外れて猫や幽霊ではなく、生身の人間のようだった。
コンクリートで出来た暖炉!?昔の名残りだと借りる時アパートショップの人に聞いていて今は使えなく封鎖してあるとか、言ってたけど何で人が入ってくるんだ?
しかもこの不快な異臭!あきらかにあの人の方から強烈に発してくる。
髪は白髪っぽく不清潔そうなぼさぼさ頭でよく見えないがこがらな人のよう!女性かと思ったが暖炉からはうようにやがて完全に中に入ってくるなり、うう…!とうめきながら、「このバカチンめが…!」と訳のわからない事を甲高く暗闇で喚いてそれが老人の男性である事と同時にたまに道ですれ違うホームレスの人だとゆうのがわかった。


いずれにしても、正幸からしてこの光景は現実に恐怖でしかなく暖炉から入ってきたのがかくれんぼしてる子供か季節はずれのサンタクロースだったらどんなに良かったかとまだ思考は夢物語から離れないまま汗をたらたらと硬直して固まっていた。