思春期お絵描きブログ

趣味で小説やイラストを投稿させていただきます。<(_ _)>

狂い咲き!5「安堵の休息!」

邪魔者って、僕の事?予想外に聞こえてきた学生の言葉にフリーズしかけた麻斗だったけど、脱水寸前でフラフラの今の麻斗の状況から冷静に判断する能力が出来なかった。それでも嫌悪感を感じるだけの理性は少なからず、残っていたのか冷やかしてきた学生を避けるように、浅い川を渡ると、情けなくも堤防の上の向こう側の林が見える日陰めがけて小走りに駆け出した。


その姿に「まじうぜ〜!」と後ろからさっきと同じ人の声が耳に飛んできた気がしたけどそんな事気にしてられなかった。


麻斗「とりあえず分かんないけど、たぶん絶対あれ公園だよね?はやく…水だけは飲まないと、ほんと死んじゃうかも…!」


ハァハァ息をきらしながら堤防を乗り越え駆けてゆく麻斗。
しかし麻斗のあてのない小さな期待ははずれ、そこはさびれた薄暗いだけの神社のようだった。
絶望して焦り出し、パニックになりかかった麻斗は「やっぱり河原のトイレしかないのか!」とぶつぶつつぶやき泣きそうになったが、少し中に入った隅っこにブルーのホースがぐるぐるにまかれた蛇口が目に入った。そして、急に安堵の表情にかわる麻斗。
麻斗「やり〜!」
ほとんどのどの乾きが限界に近かった麻斗はすがる思いで走って行くと、素早く蛇口をひねって貪るように生命の水に、口を近づけがぶ飲みをはじめた。
絡んだホースがスムーズに蛇口をひねるのにちょっとためらったが…!


予想以上に勢いがすごくて、汗だくの顔や服にひんやりした水がビチャビチャと音をたてて噴射し、ずぶ濡れになってしまったがそんな事にはかまっていられないぼどのどの乾きは激しかったみたいだ。


その様子にびっくりしたのか、ホースの影に隠れていた黒いトカゲのような生き物がシヤーっと飛び出してきて逃げるように、麻斗の視界からコンクリートづたいに離れていった。


しばらく朦朧とした視界でごくごくのどをならしていた麻斗だったがそれも徐々に、我に返って、今度は河辺にバケツとたもをほっぽり出してきた事を思い出し憂鬱な気分が蘇ってきた。


そして、「今日はなんかいろいろついてないな〜!(-_-;)」と冷水で顔を洗いぬぐったとたん急ににその場に力尽きたようにへたり込んでしまった。


焦ってて気がつかなかったが沢山のかこまれた木々からジリジリと蝉が合唱でずっと鳴いていたのが分かった。すぐ横には安らかな顔して微笑んでいる小さな石のお地蔵様が癒しを分けてくれた!

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