思春期お絵描きブログ

趣味で小説やイラストを投稿させていただきます。<(_ _)>

不法侵入!18「安堵!」

店長の川田さんと駅で別れてから正幸はスマホに、この間久しぶりの兄の晃博(あきひろ)からのからかうようなラインが沢山来ていたのに気づいた!


どうやら大雨の被害の事とか知ったみたい!いくつか流し読みをして、最後の「おい…返信しろ、生きてるか〜!」の文章でうんざりしてしまった正幸は昼下がりの炎天下で中々文章を打ち返す思考が追いつかなくて、自転車にまたがり日陰を目指し走りだした。だが少しして後ろのタイヤに異変を感じて、正幸は自転車を降り確認するとパンクしているのが分かった。
正幸「まじで!?Σ(゚Д゚)」
だいぶ今まで乗り回してきたせいかタイヤも擦り切れるほど、ぼろぼろになっていたので、「そろそろかえ時かな!(-_-)」とため息混じりにつぶやいた。
再び自転車を押して歩き出すと目の前に郵便局が見えてきた。正幸は出来ればもうあの家には帰りたくなくて、引っ越したいと思った。が、そんなお金もなく自転車の前かごに入ったコンセント式の扇風機に眉間にしわを寄せ再度ため息をつき電気代だけでも払わないとと家の玄関の隙間に挟んであった請求書がリュックの中にくしゃくしゃに押し込んであったのを確認する。
そして炎天下の誘惑に負けるように郵便局前に自転車を止めると、少ない通帳からしぶしぶ支払いに行ってしまった。


憂鬱顔で少しだけ中で涼んだせいか、冷静に思考が戻ると後悔だけが残った。


外に出るとまた、ゆだるような蒸し暑さが正幸を襲う!
正幸はパンクしてるのにも関わらず自転車にまたがり苛立つようにペダルを漕ぐがすぐに身体がだるくなり、スマホを取り出し兄に当たるように先程の返信を返した。


正幸「生きてるよ〜!(笑)生きてるけど正直もう限界かも…いろんな意味で…(-_-)!近いうちしぬかもしんない…その時は別にそう式とかしなくていいからね!無駄なお金かかるし!なんならその辺の土に埋めてくれていいから…。兄ちゃんも東京にいる彼女と元気でね…応援してるよ…。」


長々と皮肉じみた文章を打ってスマホをポケットにしまい込むと正幸は無性にお腹が空いてきてつくづく人生がいやになった。


だが、虚しく自転車を降りひきはじめるとすぐに、ピコンとスマホ音がなった!


虚ろな目で、ポケットから取り出して見ると、兄の晃博から「今から行く!」と返信が…!えっ!Σ(◎_◎;)


東京にいるはずの兄から思わずの返信に正幸はあっけにとられてしまったが、何故か安堵感も同時に感じられた。

不法侵入!17「一期一会!」

そのまま、今日で最終日でもあり、午後の3時頃には勤務が終わり鍵を閉めると正幸は店長と一緒に汗だくで最寄りの電車の駅に店長を見送りにと向かう坂道を歩いていた。捨てる事務用品の中にまだ使えそうな小型の扇風機があり記念に貰ったのだが乾電池製じゃなくコンセント製だと気づき電気代の事を思いだし苦笑いしていると!いつの間にか踏切のそばまで来ていた。通り過ぎた建物についていた温度計!外の気温は既に37℃をこえているようで、真夏のジンジンと溶かすようないきおいの太陽の照り返しが肌に痛いぐらいに暑い!((+_+))


川田「じゃ私はここで…!最後にもういちど一緒に温泉に入りたいなと思ったけど家内が先に引っ越し先に出発しちゃったみたいだから行くね!いろいろ迷惑かけちゃったけど!いつか、旅館にも遊びにきて!割り引きするから!(笑)それから、ご家族の方にもよろしくね!(*´▽`*)」


いつもとかわらない笑顔に正幸も少ししんみりになった。バイトの最初の時歓迎祝いみたいにここの駅のうらの銭湯(温泉)に誘ってくれたっけ!緊張してほとんど喋れなかったけど店長の人柄にリラックス出来た。緊張していた僕にずいぶんと気を使ってくれていたのかな?自然と鼻がジンと来てしまった!


正幸「はい!いえ、こちらこそお世話になりました。店長も身体には気をつけて!(◎_◎;)」


川田「ありがとう!じゃあ、これからもしっかり働きなさい!若いんだし、応援してるから!(*´ω`*)」


正幸「ありがとうございます!m(_ _)m」


店長はそう言うと笑顔で森山駅の改札口に入っていった。


いろいろ愚痴っちゃった事もあったけど良い人だったな!正幸は最後になって店長と出会った頃の日々をそんなに長くなかったけれどとても懐しく一緒に働けて良かったなと思える自分がいた!


そんな事を考えていた時、ちょうどリュックに入れていたスマホのブザー音がなった。
2日めには停電がおさまって掃除の間店で充電をさせて貰ってたんだ。いろいろ精神に負担がかかったりしてまともにチェックとかする余裕がなかったけど、開けたら大量の兄からの通知がきていた。

不法侵入!16「真夏の大掃除!」

暖炉の老人に襲われかけてから、正幸は精神もさらにまいってしまって、台所にはほとんどよりつけなくなり家では2階に引き込もる生活になった。魔力にかかったように、誰にも素直に相談できず、さすがに貯金が少なく簡単に、家から逃げられない自分を悔やんだ!(>_<)


そして、バイト先はあれから3日目で売れ残りのほとんどの商品の引き取りがすんで後は古い事務用品などの処分だけだった。相変わらず太陽の日差しは強くて、寝不足の顔で、腰の痛みもだいぶ落ち着いたと聞く川田店長とモップやぞうきんがけでほぼヘトヘト状態の正幸。


川田「何だか日に日に疲れた顔してない!家でちゃんと休んでるかい?(*'ω'*)」


正幸「いえ、あんまり、最近寝れていなくて…!本当、いろいろありまして!(-_-)」


川田「実家のお母さんたちに心配かけちゃ駄目だよ!(笑)生きていくといろいろと大変な事が多いけど!岡部くんは、やっぱり実家に戻るのかい?」


正幸「まあ、そのつもりですけど…まだ、どうなるか!店長はどうするんですか?」


川田「私は家内が三重の実家で小さな旅館をしていてね!最近やめた数人の中居さんがいるらしくて人手が足りないって言われて私も含めてお手伝いに誘われたんだ!大変かもしれないけど、こんな事があった後で、ちょうど決心もついて家内と話して思いきって引っ越すことにしたよ!(^ω^)」


正幸「旅館ですか!結構忙しそうですよね!ここの時みたいに、のんびりはしてられないんじゃ!(◎_◎;)」


川田「そうなるかもね!こんな年とったおじさんが、正直言うとかなり不安なんだけど、やると決めた以上しっかりと旅館の皆さんに迷惑かけないように頑張るつもりだ!君は若いからまだ、いろいろな仕事に挑戦するなりこれから自分に自信をつけられるように頑張りなさい。」


正幸は、店長のありがたい言葉を背後に聞き、うなずきながら古くてもう使わなくなった備品の入ったダンボールを今回被害にあった地域の物品等を回収処分に回っているという、店からすぐ坂の下の回収板がついた場所に「最後の最後まで力仕事!」と汗じっとりの寝不足顔でふらふらと運んでいった。