思春期お絵描きブログ

趣味で小説やイラストを投稿させていただきます。<(_ _)>

くちなしの花!5「氷の眼!」

少年が、手を上げてこちらに合図しているのを見たらやはり職業ドライバーとしての性がのある泰蔵は止めないのもどうかと迷い少年の前までくると、しぶしぶ後ろのドアを開けた!


泰蔵(まあ、このまま無視して、会社に戻ってもよかったがな、今日はほとんど客もつかなかったから見納めにはちょうどいいか!今日分の給料まで払ってくれるったって、さんざん迷惑かけたあげく、とんだ、給料泥棒の野郎だったなんて、後からねちねち他の連中からも、噂されかねねえしな!さすがに俺のプライドが許さねえ!(-_-メ))


のちに、この良かれと思って起こした仏さん心の行動が後悔することになるとはこの時夢にも思っていなかった・・・!


泰蔵のそんな思惑とも知らず、小雨に濡れた少年はすかさず後ろの車内に入り込むとどさっと真ん中に足を広げて堂々と座り込んだ!身長は泰蔵より少しだけ高いくらい!体型も泰蔵と比べればやせ型だろう!茶髪にうっとおしく目に入る前髪!地味な赤の服に青いズボン、裕福そうには見えないしとても、タクシーを常連している感じにも見えないと泰蔵は勝手に思ったが決めつけるのはよくないとすぐ冷静にいつもの慣れた業務対応にはいった!


泰蔵「ちょっと本降りになってきたね!どちらまで!」


少年「・・・海まで!」


泰蔵「ああ!」


少年「駄目ですか!?」


泰蔵「いや、駄目じゃねえですけど、こんな時間から海なんて、しかもこんな天気な時に、誰か待ち合わせでもしてるんですか!?」


少年「無理なら近くの山でもいいです!」


泰蔵「はあ、山って!言われてもねぇ!(-_-;)」


なんだこいつは、さっきから!とんちんかんなオーダーばっか出しやがって、はりたおすぞ!
泰蔵は、少年の意味の分からない対応に口にでかかった怒りをぐっとこらえる!
そして、ハンドル横のナビを操作しながら、


泰蔵「この近くだと、ちょっと外れにハイキング山コース山神の里ってゆうのならありますね!」


少年「じゃあそこまで!」


おいおいおい、大丈夫かこいつ!不良とまではいかねえが、態度いい感じじゃねえし!まさかやべえやつじゃねえよな!そういや、だいぶ前に、タクシー運転手を狙って後ろから刃物で切り付ける悲惨な連続事件があったよな!こいつもその類(たぐい)か!なわけねえよな!


泰蔵は車を走らせながら、沈黙の続く車内をどうにかかき消そうと、何かと、少年に話題をふろうとする!冷房を強風にしたままだったのを思い出して!


泰蔵「ああ!そういや寒いですかね!ぬれてるのに、すいませんね私暑がりなもんで!それと、タオルそのはしにある私のカバンに綺麗なの何枚か入ってるから使ってくれていいからね!」


カバンは座席のはしの下に無造作に転がっていた。
少年は、たいして反応もせず、下を向いたまま小声で・・・!


少年「・・・平気です!」


泰蔵「あと、この花(くちなし)の匂いも、私の汗臭い体臭とか臭わないかなと、きつくないですか!」


少年「・・・!」


少年はめんどくさそうに下を向いたままそれにはこたえなかった!


ナイフとか出してこねえよな!泰蔵はそのあともしきりと真上のルームミラーで後ろの少年の様子を伺いながら、何かと話題をふろうとした。


泰蔵「お客さん大学生!」


少年はなんだか質問される事事態がうっとおしそうに!


少年「受験生です!まだ、高校です!」


無愛想なやつ、ちゃんと目えみて話さんか!そんなんだと面接おちるぞ!(-_-メ)


泰蔵「じゃあこの夏踏ん張りどころですね!私は、中卒で大学行ってないんで、はは、詳しい事は、分かりませんが!」


ミラーにうつる少年はぼんやり横を向いて窓の外をながめている!
そんな愛想の悪い態度に泰蔵もしだいにあほらしいとわれにかえり、数分で会話をふるのをやめた!そしてそれから、だんだんと雨足が強くなってゆくなか、1時間半ぐらいたってようやく目的地のハイキングコース近くの山道ののぼりに差し掛かったときには、運転席前のデジタルは午後7時近くになっていた。何だかんだと、天候が悪く安全第一の運転で走ってきたためこんなに遅い時間になってしまった。おまけにすっかり薄暗い!
ちらりとミラーに目をやると、いつの間にか少年は顔をあげていてまともに目が合ってしまう!服はもう乾いていて、無感動な瞳、どこか氷のような冷たい視線に泰蔵は薄気味悪さを感じてしまい思わず目をそらした。気のせいかうっすら口元に薄ら笑いが浮かんでたような気もした!
それでも、泰蔵はようやくこれで業務が全部終わると思い、締めの感じで少年に話しかけた!


泰蔵「お客さん、私、実はいろいろありましてね、今日でこの仕事退職することになったんすよ!で、お客さんが私の運転にのる最後の方ってわけで!なんて言うか、毎日のように乗り回していた車だから、やっぱり自分の車みたいに愛着みたいなものがありますね!」
自分で言ってて、ちょっとだけ、酔いしれてしまう泰蔵!
だが少年は泰蔵の話しにはまるで興味なさそうに、下を向いて大きなあくびをしたかとおもうと急に!


少年「この山もういいんで!どこか別の所、適当に走ってください!」


泰蔵「なっ!Σ(゚Д゚)」


こいつけんか売ってんのか!(# ゚Д゚)


泰蔵「いや、お客さんもうハイキング山すぐそこですけど、ここまで来ていきなり適当にその辺走れって、それはないでしょ!」


さすがのこの要望には、泰蔵もしびれをきらしたが、


泰蔵「引き返すのはいいっすけど、その分延長料金かかっちまいますよ!(-_-メ)」


つい、客を目的地におろす事ばかり考えてた!だいたいそうだろう!よくよく考えて最初からどしゃ降りの中ハイキングの山ってのもおかしな話だろ!職業がらつい客のオーダーにのってしまうわりい癖!俺とした事が!
既に、5000円の数字を超えているメーター!


早い話こいつちゃんと、金持ってんのか!つい、素の強い口調が出かけてハンドルを思い切りきりバックしかけた時、突然車の振動と共にがくんと後輪のタイヤに鈍い音が!脱輪か!Σ(゚Д゚)


数分てこずっていると細い傾斜の砂利道に川のような雨!ワイパーもほとんどきかなくなっていた!
ハイキングコースとはいえ、傾斜の多い道、ひとたびはげしい雨がふれば流れおちてくる水の量は滝のように勢いづけてくるだろう!


泰蔵「(なんかやべえ事になったぞ!Σ((;°Д°;)))」


そんな焦る泰蔵とは真逆に後部座席に座る少年は相変わらず冷めた視線で泰蔵をみていて他人事のような感じだった!

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